公立学校教員の処遇改善などを目的とした教員給与特別措置法(給特法)の改正案が15日、与野党の賛成多数で衆議院本会議で可決された。
改正案は、教職調整額を基本給の4%から10%に段階的に引き上げることや、教育委員会が教員の業務量を適切に管理するための実施計画を策定・公表することなどが柱。早期離職が課題となっている若手教員の支援などを担う「主務教諭」も新設する。
自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が賛成し、れいわ新選組と共産党は「改正案では労基法違反が解消されない」などとして反対した。
改正案に反映された修正では、教員の1カ月の時間外勤務を令和11年度までに30時間程度に減らすことを目標とし、そのために必要な環境整備を附則に明記した。
具体策として、 ・教員1人当たりの担当授業時数の削減
・教職員定数を定める義務標準法の改正
・教職員以外の教育活動を支援する人の増員
・保護者対応への支援▽部活動の地域移行を進めるための財政援助
―などの措置を取る。
また来年度から公立中学校の標準を35人学級に引き下げるための法整備も進めるとした。昨年末の文科相と財務相の大臣合意の内容を反映した。
教員の時間外勤務を巡っては、令和2年の法改正で月45時間を上限とする指針が定められたが、文科省の勤務実態調査(令和4年度)では小学校は65%、中学校は77%の教員が上限を超えた。このため衆院文部科学委員会では、教員の業務管理の実効性を高めるための措置を求める声が強く上がっていた。
附則では改正法の施行後2年をめどに教員の勤務の状況について調査することとし、附帯決議に時間外勤務の削減に向け国が工程表を策定することを盛り込んだ。報告された時間外勤務に虚偽記載があった場合、校長が懲戒処分の対象となる可能性があることを周知することも求めた。
時間外勤務の削減に関連しては、教員定数の改善と教育課程での負担軽減を訴える意見も上がった。
14日の文部科学委員会で阿部俊子文科相は、学習指導要領の改訂に向けて「授業時数を弾力化し、学校現場が使いやすいものとすることで教員の余白を生み出す。教育課程と教員定数の改善を総合的に取り組んでいく」などと答えた。