一つの学級に1人の担任。そんな「学級担任制」を見直し、複数の教員で学級を担う試みが小中学校で広がっている。教員不足を何とかしたいと始めた学校もあれば、複数の目で子どもを見ようという自治体もある。学校のシステムを変える取り組みはどう進んでいるのか。
新たな試みの呼び方は、複数で持つ「チーム担任制」、学年内で担う「学年担任制」、全員で当たることを強調する「全員担任制」などさまざまだ。いずれも文部科学省が始めた施策ではない。
兵庫県川西市立多田小学校は2023年、「学年担任制」に踏み切った。
きっかけは前年、担任の1人が産休に入っても代わりが見つからず、教頭らが交代でクラスに入ったことだった。その後にも新型コロナウイルスに教員が感染し、担任不在の学級が相次いだこともあった。勤務できる教員で穴を埋めたが、疲労が広がる経験もしていた。
西門(にしもん)隆博校長は考えた。「学級間格差をなくすには、1人が1学級を持つのではなく、学年全員で担う仕組みに変えるときではないか」。複数の教員が関わるには、子どもの様子の情報交換や打ち合わせが不可欠だ。その時間がなかなか生みだせない。
そんなとき、1コマ45分を40分にして「午前5時間制」とする学校があると知った。子どもの下校時間が午後3時より早くなるので、情報共有の時間がとれることになる。さらに全教科を学年の教員で分担し、1人が数教科担任する「教科担任制」も始める案をつくった。