文科省は、小・中学校が年度途中に授業時数を調整しやすくなるよう仕組みを見直す方針を示した。特定の教科等が当初の計画を下回りそうな場合には、他教科や学校の「裁量的な時間」から時数を充てられるようにする。授業時数の弾力的な運用を可能にすることで予備的に確保している時数の削減を促す狙いがある。
計画段階の上乗せ抑制へ
16日に開いた中央教育審議会の教育課程企画特別部会で提案し、委員から賛同を得た。
同省の調査では、令和6年度の計画段階で標準授業時数(1015コマ)を大幅に上回る1086コマ以上で編成していた学校は2年前の半数以下に減ったが、依然として小学校5年で17.7%、中学校2年で15.2%あった。
一方、上乗せ分の時数については「具体的な用途を想定していない」「学級閉鎖等に備えた予備的な時数」としていた学校が合わせて約半数に上った。
同省では、学校が状況に応じて年度途中に授業時数を調整できれば、計画段階の設定時数を抑えられると分析。標準時数を下回る見込みの教科には、他教科や新たに設定する「裁量的な時間」から時数を充てられることとする。校務支援システムなどの機能を使えば、時数計算にかかる教員の負担も大幅に軽減できるとした。
この日の会議では、学校の授業時数を減らすために文科省が週当たりの教育課程の編成例を示すことも提案した。
現在、学習指導要領で授業週数を「年35週以上」と規定していることから、標準時数(1015コマ)を35週で割って「週29コマ」とする学校が多い。
ただ、同じ調査では、年間の授業日数は平均200日(40週)だった。学校行事など標準時数に含まれない特別活動の時数を調査の平均から60コマに設定し、欠課・欠時の時数を45コマとすれば、実施できる授業時数は1015コマとなり、「週28コマ」で編成できるとした。
また、年間を通して平均的に時数を配当することとしている規定を改め、短期間で集中的に授業を実施できることも明確にする。編成例については、学習指導要領の改訂を待たずに提示する考えだ。
学校現場が授業時数を減らせない要因の一つとして同省は、「教科書を網羅的に教える」という教員の意識もあると指摘。教科書内容の中核的な概念をつかみやすいように、内容の精選を図ることを提案した。教師用指導書での指導計画もそれに沿った形で示すとしている。
特別部会では、特に中学校の授業改善や教科書のスリム化を促すために、高校入試についても検討の対象とする。