東京都中学校長会は4月24日、令和7年度定期総会・研究発表会を東京・東大和市で開催した。堀越勉会長の退任に伴い、佐藤敏数・武蔵野市立第二中学校校長が会長に就任した。
佐藤会長は就任あいさつで、現在、公立学校を取り巻く環境は厳しい状態にあり、中でも、教員のなり手不足の問題については、今後、東京のみならず、日本の学校教育の維持が危ぶまれる状態にあると続けた。
そして、課題が山積していたとしても、「私たち校長一人一人は、真摯に向き合い、解決に努めてきた」と語り、「一人の校長が抱えた課題や悩みを、共に考え、支え合い、組織として対応していくことが本会の役目。より良い学校経営を目指すための研さんと建設的な提案のできる一体感のある校長会にしていきたい」と強調した。
給食費の全額補助9割以上
人事異動で生じる課題 「部活顧問の確保」7割弱
研究発表会では同会教育対策部が実施した予算や施設・設備、教職員人事などに関わる調査結果を報告。調査時期は昨年12月から今年3月で、全610校が回答した。
学校裁量予算(おおむね使用用途の制約がない予算)の配当の有無を問う設問では「ある」が43.6%。
「ある」学校に予算額を尋ねたところ、「40万円未満」が最多で29.8%。「提案型等となっているため一律ではない」(20.6%)、「400万円以上」(14.9%)と続いた。予算の活用方法は、「外部講師、学習支援員等への人件費」や「特定の課題達成の推進」などが多い。
給食費についての市区町村からの補助については、「全額補助」が93.6%、「一部補助」が1.3%
インターネット利用について、他地区と教育上必要なやりとりをする場合の現状については、「管理やセキュリティの関係で、教育上必要なやりとりが十分にできないことがある」が最多で57.0%。「ほとんどできない」の結果と合わせると6割を超える結果となった。一方、「管理やセキュリティ環境の整備が進み、さまざまな面で配慮されているため不自由なくできる」は31.8%だった。
令和6年度の定期人事異動で、異動があった学校に課題を尋ねたところ、「部活動顧問の確保」が最多で67.7%。「年齢・性別構成のアンバランス」(54.9%)、「指導力不足の教員がいる」(48.4%)と続いた。
異動による未配置などの問題の発生状況を質問。「未配置はなく、全員配置」が89.8%。「未配置の教員がいる」は6.4%、「未配置の教員がいたが現在はすべて配置」は2・5%だった。教科は「技術」「英語」が多い。
授業の持ち時数に関わる設問では、最大時数の教員と最小の教員との差を質問。「10時間以上」が最も多く、38.2%。「8~9時間」(33.4%)、「6~7時間」(19.7%)と続いた。
時数のアンバランスの解消に向けた取り組みについては、「持ち時数の多い教員の校務分掌を軽減する」「持ち時数の少ない教員に校外折衝、行事やホームページ作成などのプロジェクトチーム、PTA等渉外関係校務等を分掌させる」「適当な解決策が見いだせない」などが多い。
部活動の地域移行 約1割が動きなし
教員の後補充できない4割弱
部活動の地域連携・地域移行の進捗状況に関わる設問では、「学校同士の合同部活動や部活動指導員等、地域連携が始まっている」が最も多く44.8%。「自治体で検討委員会を設け、地域連携の検討を始めている」(40.8%)、「自治体で検討委員会等を設け、地域移行の検討を始めている」(29.7%)と続いた。「特に動きはない」という回答も9・7%あった。部活動の地域連携・地域移行で今後課題になると感じる内容については、「指導員の確保」「教員の関わり方」などの回答が多かった。
後補充の状況に関わる設問では、病気や出産、育児などで休暇や休職をした教員の有無を質問。「いる(いた)」が66.7%だった。人数は、「1人」「2人」の順に多い。
後補充ができたかどうかについては、「すべて確保されている(された)」が63.3%で、「確保されていない後補充教員がいる(いた)」が36.7%。
育児休業を取得した教員がいた学校に対しては、男性教員の取得について尋ねており、全体の41.4%(160校)を占めた。