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管理職の独り言【第354回】年度初めのビジョン 自分の願いは自分の言葉で

 新年度が始まりました。入学式・始業式は無事終わりましたか。校長になると式典で壇上から子どもたちの姿を見ながら、どんなふうに育ってほしいかメッセージを伝えますよね。もちろん、一度語ったくらいでは覚えていないだろうと思い、言葉を変えて、場面を変えて、願いを伝えていくのかなと思います。

 年度末の卒業式では、卒業生が門出の言葉の中で、入学式での私の言葉を取り上げ、それを目標に頑張ってきたと話していました。私にとっては毎年繰り返している式辞ですが、その中のフレーズを覚え、中学校生活の目標にしていたことに驚きました。改めて、儀式的行事というのは、人にとっての節目になり、ライフステージの方向を決めるものになるのだと感じました。

 校長は組織の長として、ビジョンを語るべしとマネジメント界隈ではいわれますが、偉人から借りてきた言葉より、目の前の教職員や子どもたちから現状を感じ取り、自分の目指していることと、そこへのステップを示した方がよいのではないかと思っています。文字で示した方が理解しやすい人、声で示した方が理解しやすい人、図示した方が理解しやすい人など、受け止める側にはいろいろな人がいます。そのため考えやビジョンを伝える際は、どんな手段を取るかも大切なことですよね。

 私は、教職員がなるべく自分で学びを広げてほしいとも思っているので、話と関連する資料を校務支援システムに添付し、リンクを張るようにしています。特に重要答申や学習指導要領で使われている言葉の概念については、参考資料を示します。

 例えば、「エージェンシー」という言葉は「考え、行動する人」と単純に言い換えて教職員や生徒に伝えていますが、本来は違う意味も含まれていると思っています。自分でその概念に触れることで理解が深まればよいと考えています。

 今年も年度初めの今、ビジョンを語ります。でも、一番理解してほしい人にはあまり伝わらないですよね…。 (横浜市立中学校校長N

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