合格者の約6割が辞退。高知県の小学校教員採用試験の報道を見て、衝撃を受けました。教員不足は、もはや他人事ではありません。
ある新聞で、高知県の小学校教員採用試験で合格者151人が辞退したという記事を目にしました。気になって昨年の数字を調べてみると、さらに驚きました。昨年は約7割にあたる204人が辞退していたのです。
採用試験に合格したのに、なぜこれほど多くの人が辞退するのか。報道では、高知県の採用試験が全国的に早い時期に行われるため、他の自治体と併願している受験者が多いことが原因ではないかと言われています。ただ、辞退者へのアンケート調査に基づいた分析ではないので、本当のところはわかりません。
予定通りに先生が確保できないということ
新規採用の教員が予定数に達しないということは、慢性的な人手不足につながります。
実際、高知県では病気休暇や産休、退職などで必要になる代替教員の配置すらままならない状況だといいます。ここまで深刻な状況がすべての都道府県で起きているわけではないかもしれません。でも、こうした報道を目にするたびに、人ごとではないと感じるのです。
採用されても、続けられない現実
東京都では、2025年度は年度当初の教員欠員状態が2021年度以来、解消されたそうです。しかし、年度途中で離職や休職によって多数の欠員が生じる事態は続いているといいます。
せっかく採用されても、その後に離職・休職してしまう状況は変わっていない。これが現実です。
実際、私の同期も次々と離職したり、休職したりしています。これは公立小学校に限った話ではありません。私の知る私立小学校でも、採用から3年持たない教員が毎年出ているという話を聞きます。
「うちは大丈夫」で終わらせていいのか
「いやいや、うちの学校はそんなことないよ」という声もあるでしょう。確かに、地域や学校によっては十分な人員が配置されているところもあります。
でも、この業界全体を見たとき、人手不足で苦しんでいる学校や地域が確かに存在しているのです。
東京都教育委員会では、教職員へのハラスメント行為を行う保護者への対応策を示したガイドラインの素案を公表しています。離職や休職を防ぐための取り組みが、少しずつ始まっています。
おわりに
先生になりたいと思って採用試験を受けた人が、先生を続けられる環境をどうつくるか。それを考えなければ、慢性的な教員不足はこれからも続いていくでしょう。子どもたちのために、この問題から目を背けてはいけないと思うのです。